「DJ として一番大切なことは何ですか?」これ、若手によく聞かれる質問。
答え:「DJ は挨拶に始まり、挨拶に終わる」。
これシーンの中で代々言い継がれてる格言なんですが、本当に本当にこれです。技術じゃない。
「マジかよ」って思いますよね。マジなんですよ。シーンの内側から本音で書きます。
なぜ技術より挨拶か
「技術より挨拶が大事って、それ精神論じゃないの?」って思う人もいると思います。でも、シーンの構造を理解すると、これが合理的な答えだって分かります。
理由は 3 つ:
1. 技術は伸びる、信頼は失うと取り戻せない
DJ 技術って、半年〜1 年練習すれば、ある程度のレベルには到達します。下手な人も、続けてれば上手くなる。
でも、信頼を失う行動 (ドタキャン、遅刻、態度の悪さ、約束を守らない) は、一度やると 半年から数年、取り戻せない。シーンは狭いので、悪い噂はすぐ広がる。
2. シーンは小さなコミュニティ
東京のクラブシーン、外から見ると広く見えますが、内側はかなり狭い。主催同士、DJ 同士、スタッフ同士、みんな繋がってる。
「あの DJ、前回ドタキャンしたよ」って情報、3 つの主催チームに伝わるのに 1 週間もかからない。
3. 主催の負担を想像すると分かる
主催 (オーガナイザー) の仕事って、めちゃくちゃ大変です。
イベントの企画、出演者の選定と交渉、フライヤー制作、SNS 告知、当日の機材搬入、スタッフ手配、お金の管理、終わった後の精算…
その中で、出演 DJ から「すいません今日行けなくなりました」って当日連絡が来ると、その夜全体が崩れる可能性がある。
主催が DJ に求めるのは、「破綻しないこと」。これが最低条件です。
「DJ は挨拶に始まり、挨拶に終わる」の具体
じゃあ、具体的に何をすればいいか。
到着時の挨拶
会場に着いたら、まず主催 / オーナー / 店長に挨拶。「今日よろしくお願いします」。これだけで全然違う。
スタッフ (バーカウンター、DJ ブース担当、PA) にも挨拶。「お世話になります」程度で OK。
すでに到着してる他の DJ にも挨拶。「お疲れ様です」「先輩、いつもありがとうございます」。
プレイ前後の挨拶
自分の出番前: 引き継ぐ DJ にブースで「よろしくお願いします」「あとお願いします」。
自分の出番後: 次の DJ にブースで「お疲れ様でした」「あとお願いします」。
終演後の挨拶
帰る前に、主催 / オーナーに「今日ありがとうございました」「お疲れ様でした」。
可能なら、来てくれたお客さん (特に自分を見に来てくれた人) にも一言。
これだけです。難しいことじゃない。でも、これをちゃんとやる DJ は、本当に少数派です。
遅刻、ドタキャン、報連相
挨拶と同じくらい大事なのが、以下:
遅刻しない
基本、イベント開始時間の 30 分〜1 時間前には会場入りするように心がけましょう。準備時間と精神的な余裕、両方必要です。
新宿・渋谷の場合、「電車の遅延」は結構頻繁にあります。イベント開始時間の 1 時間前には最寄り駅に到着しているぐらいのタイムスケジュールで動きましょう。「電車が遅れたので遅刻しました」が通用するのは学生だけですよ。
ドタキャンしない
体調不良や急用は、人間だからあります。でも、当日のドタキャンは絶対に避ける。
数日前から「ちょっと厳しいかも」って予兆があったら、その時点で主催に正直に言う。代役探しの時間を主催に与える。
これだけで、シーン内の評価は逆に上がります。
報連相 (報告・連絡・相談) を徹底
主催からの連絡 (出演時間、機材確認、SNS 告知協力) には、24 時間以内に返信。遅くても 48 時間以内。
「分からないこと」「不安なこと」は、当日じゃなく、事前に相談する。
これ、社会人なら当たり前のスキルなんですが、若手 DJ には意外とできない人多い。
やっちゃダメな行動リスト
逆に、シーン内で「次は呼ばない」判定になる行動:
1. 主催からの連絡を無視する
「LINE 既読スルーで返事来ない」「メール返信が 1 週間後」、これ即アウト。
2. 当日のドタキャン
風邪、体調不良、なんでも理由は付くけど、当日キャンセルは主催に最大ダメージ。
3. 遅刻してそのまま無連絡
開始時間に来ない、連絡もない。これで信頼ゼロ。
4. 出番中に酒で酔いすぎる
少し飲むのは OK。でも、明らかに酔っ払って音をぐちゃぐちゃに繋ぐのは絶対 NG。
5. 他の DJ や主催の悪口を SNS で書く
業界の悪口、特定の人物の批判、これ書いた瞬間にキャリア終了。シーン中で見られてる。
6. 客への態度が悪い
「俺の選曲分かんない奴は帰れ」みたいな態度。これは技術以前。
7. 機材を雑に扱う
クラブの CDJ や DJM は高額機材。USB の抜き挿しを乱暴にやる、ヘッドフォンを投げる、これダメ。
8. SNS で告知も何もしない
集客は主催だけの責任じゃない。出演 DJ が SNS で告知・シェアをしないと、主催から見た「協力する気の無い演者」になります。フライヤーシェア、出演告知、終わった後のお礼ポスト、最低限これだけはやる。
ここは深いテーマで、本当は記事 1 本になるくらいの話 (告知のタイミング、文面、ハッシュタグ運用、他の演者へのリプライ作法など)。別途書きます。
なぜ「挨拶ができる」だけで一目置かれるのか
ここまで読むと「いやそれ普通のマナーじゃないの?」って思うかもしれません。
その通り、普通のマナーなんです。でも、シーンには 普通のマナーができない若手 DJ が驚くほど多い。
なぜなら、DJ を目指す人の動機が「目立ちたい」「自分の音楽を表現したい」みたいな自己表現系で、対人スキルや社会人スキルが追いついてないケースが多いから。
目立ちたい・モテたい動機 でも書きましたが、動機は自己表現で全然 OK。でも、自己表現と「他人への配慮」は別。
普通のマナーがちゃんとできるだけで、シーンでは「あの子はちゃんとしてる」って評価される。これが信頼の積み上がりです。
信頼が積み上がると何が起こるか
信頼が積み上がると、こういう動きが出てきます:
主催からの再オファー: 一度出演して破綻しなかった DJ は、次の月にまた声がかかる。
ピンチヒッターの依頼: 他の DJ がドタキャンした時、「あの子なら大丈夫」って急遽呼ばれる。これチャンス。
他主催への紹介: 「あの DJ 良かったから、お前の方でも呼んでみて」って横展開。シーンが広がる。
ゲスト DJ との繋がり: 海外勢や有名 DJ が来た時、「君と一緒に回したい」って指名される可能性。
これ全部、技術じゃなく信頼で起こる流れです。
逆に、信頼がない DJ は、どんなに技術があっても、次のチャンスが来ない。
「DJ は挨拶に始まり、挨拶に終わる」、覚えとけ
最後にもう一度。
DJ は挨拶に始まり、挨拶に終わる。
技術より、選曲より、機材より、これが一番大事。
シーンに通い始めて、DJ 目指したばかりの頃から、これを意識してください。半年後、1 年後、3 年後に、確実に差が出ます。
呼ばれる側になる方法 でも書きましたが、ブッキングは「主催が直接知ってる人」に流れる。そして主催は、「挨拶ができる」「約束を守る」DJ を選びます。
マジかよ、と思うかもしれない。でもマジなんです、これが。