FIELD NOTE シーン文化

DJとして一番大切なことは?

DJ は挨拶に始まり、挨拶に終わる。技術より大事なのはマナーと信頼。遅刻しない、ドタキャンしない、報連相を徹底する。一目置かれる DJ になる条件。

DJとして一番大切なことは? — Pixabay
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「DJ として一番大切なことは何ですか?」これ、若手によく聞かれる質問。

答え:「DJ は挨拶に始まり、挨拶に終わる」。

これシーンの中で代々言い継がれてる格言なんですが、本当に本当にこれです。技術じゃない。

「マジかよ」って思いますよね。マジなんですよ。シーンの内側から本音で書きます。

なぜ技術より挨拶か

「技術より挨拶が大事って、それ精神論じゃないの?」って思う人もいると思います。でも、シーンの構造を理解すると、これが合理的な答えだって分かります。

理由は 3 つ:

1. 技術は伸びる、信頼は失うと取り戻せない

DJ 技術って、半年〜1 年練習すれば、ある程度のレベルには到達します。下手な人も、続けてれば上手くなる。

でも、信頼を失う行動 (ドタキャン、遅刻、態度の悪さ、約束を守らない) は、一度やると 半年から数年、取り戻せない。シーンは狭いので、悪い噂はすぐ広がる。

2. シーンは小さなコミュニティ

東京のクラブシーン、外から見ると広く見えますが、内側はかなり狭い。主催同士、DJ 同士、スタッフ同士、みんな繋がってる。

「あの DJ、前回ドタキャンしたよ」って情報、3 つの主催チームに伝わるのに 1 週間もかからない。

3. 主催の負担を想像すると分かる

主催 (オーガナイザー) の仕事って、めちゃくちゃ大変です。

イベントの企画、出演者の選定と交渉、フライヤー制作、SNS 告知、当日の機材搬入、スタッフ手配、お金の管理、終わった後の精算…

その中で、出演 DJ から「すいません今日行けなくなりました」って当日連絡が来ると、その夜全体が崩れる可能性がある。

主催が DJ に求めるのは、「破綻しないこと」。これが最低条件です。

「DJ は挨拶に始まり、挨拶に終わる」の具体

じゃあ、具体的に何をすればいいか。

到着時の挨拶

会場に着いたら、まず主催 / オーナー / 店長に挨拶。「今日よろしくお願いします」。これだけで全然違う。

スタッフ (バーカウンター、DJ ブース担当、PA) にも挨拶。「お世話になります」程度で OK。

すでに到着してる他の DJ にも挨拶。「お疲れ様です」「先輩、いつもありがとうございます」。

プレイ前後の挨拶

自分の出番前: 引き継ぐ DJ にブースで「よろしくお願いします」「あとお願いします」。

自分の出番後: 次の DJ にブースで「お疲れ様でした」「あとお願いします」。

終演後の挨拶

帰る前に、主催 / オーナーに「今日ありがとうございました」「お疲れ様でした」。

可能なら、来てくれたお客さん (特に自分を見に来てくれた人) にも一言。

これだけです。難しいことじゃない。でも、これをちゃんとやる DJ は、本当に少数派です。

遅刻、ドタキャン、報連相

挨拶と同じくらい大事なのが、以下:

遅刻しない

基本、イベント開始時間の 30 分〜1 時間前には会場入りするように心がけましょう。準備時間と精神的な余裕、両方必要です。

新宿・渋谷の場合、「電車の遅延」は結構頻繁にあります。イベント開始時間の 1 時間前には最寄り駅に到着しているぐらいのタイムスケジュールで動きましょう。「電車が遅れたので遅刻しました」が通用するのは学生だけですよ。

ドタキャンしない

体調不良や急用は、人間だからあります。でも、当日のドタキャンは絶対に避ける。

数日前から「ちょっと厳しいかも」って予兆があったら、その時点で主催に正直に言う。代役探しの時間を主催に与える。

これだけで、シーン内の評価は逆に上がります。

報連相 (報告・連絡・相談) を徹底

主催からの連絡 (出演時間、機材確認、SNS 告知協力) には、24 時間以内に返信。遅くても 48 時間以内。

「分からないこと」「不安なこと」は、当日じゃなく、事前に相談する。

これ、社会人なら当たり前のスキルなんですが、若手 DJ には意外とできない人多い。

やっちゃダメな行動リスト

逆に、シーン内で「次は呼ばない」判定になる行動:

1. 主催からの連絡を無視する

「LINE 既読スルーで返事来ない」「メール返信が 1 週間後」、これ即アウト。

2. 当日のドタキャン

風邪、体調不良、なんでも理由は付くけど、当日キャンセルは主催に最大ダメージ。

3. 遅刻してそのまま無連絡

開始時間に来ない、連絡もない。これで信頼ゼロ。

4. 出番中に酒で酔いすぎる

少し飲むのは OK。でも、明らかに酔っ払って音をぐちゃぐちゃに繋ぐのは絶対 NG。

5. 他の DJ や主催の悪口を SNS で書く

業界の悪口、特定の人物の批判、これ書いた瞬間にキャリア終了。シーン中で見られてる。

6. 客への態度が悪い

「俺の選曲分かんない奴は帰れ」みたいな態度。これは技術以前。

7. 機材を雑に扱う

クラブの CDJ や DJM は高額機材。USB の抜き挿しを乱暴にやる、ヘッドフォンを投げる、これダメ。

8. SNS で告知も何もしない

集客は主催だけの責任じゃない。出演 DJ が SNS で告知・シェアをしないと、主催から見た「協力する気の無い演者」になります。フライヤーシェア、出演告知、終わった後のお礼ポスト、最低限これだけはやる。

ここは深いテーマで、本当は記事 1 本になるくらいの話 (告知のタイミング、文面、ハッシュタグ運用、他の演者へのリプライ作法など)。別途書きます。

なぜ「挨拶ができる」だけで一目置かれるのか

ここまで読むと「いやそれ普通のマナーじゃないの?」って思うかもしれません。

その通り、普通のマナーなんです。でも、シーンには 普通のマナーができない若手 DJ が驚くほど多い

なぜなら、DJ を目指す人の動機が「目立ちたい」「自分の音楽を表現したい」みたいな自己表現系で、対人スキルや社会人スキルが追いついてないケースが多いから。

目立ちたい・モテたい動機 でも書きましたが、動機は自己表現で全然 OK。でも、自己表現と「他人への配慮」は別。

普通のマナーがちゃんとできるだけで、シーンでは「あの子はちゃんとしてる」って評価される。これが信頼の積み上がりです。

信頼が積み上がると何が起こるか

信頼が積み上がると、こういう動きが出てきます:

主催からの再オファー: 一度出演して破綻しなかった DJ は、次の月にまた声がかかる。

ピンチヒッターの依頼: 他の DJ がドタキャンした時、「あの子なら大丈夫」って急遽呼ばれる。これチャンス。

他主催への紹介: 「あの DJ 良かったから、お前の方でも呼んでみて」って横展開。シーンが広がる。

ゲスト DJ との繋がり: 海外勢や有名 DJ が来た時、「君と一緒に回したい」って指名される可能性。

これ全部、技術じゃなく信頼で起こる流れです。

逆に、信頼がない DJ は、どんなに技術があっても、次のチャンスが来ない。

「DJ は挨拶に始まり、挨拶に終わる」、覚えとけ

最後にもう一度。

DJ は挨拶に始まり、挨拶に終わる。

技術より、選曲より、機材より、これが一番大事。

シーンに通い始めて、DJ 目指したばかりの頃から、これを意識してください。半年後、1 年後、3 年後に、確実に差が出ます。

呼ばれる側になる方法 でも書きましたが、ブッキングは「主催が直接知ってる人」に流れる。そして主催は、「挨拶ができる」「約束を守る」DJ を選びます。

マジかよ、と思うかもしれない。でもマジなんです、これが。

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ここまで読んだら、現場を見るのが早い

整理した内容は、フロアに立ってはじめて腑に落ちます。今夜の観測から近い時間・近い箱を選んでみてください。

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